
アメリカの健康保険
まずはシステムの理解と、どんな健康保険があるか わかれば困ったときに対処ができます。
アメリカの保険制度は難しい… その通りです。
でも一度システムさえ覚えてしまえばなんとかなります。
どうしても覚えなければいけないことは3つ。
①システムを理解する
②自分の保険のカバー内容を理解する
③用語を覚える
◆システムを理解する
<加入までの流れ>
日本の保険システムを皆保険とするなら、アメリカは必要なら入れる&自分に合った保険を選ぶ国です。
自分に選択肢がないことは自由ではないのかもしれませんね。
というわけで健康保険システムはまず「入る」「入らない」という選択肢が与えられます。
ここで入らない場合、当然「無保険(No Insurance)」となります。
健康保険料の分費用を浮かせたいという人は無保険を選びます。
入る場合は、自分の雇用先から提供される健康保険、もしくはオバマケアを代表とする連邦政府の支援する「マーケットプレイス」からの購入になります。
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どちらの場合も、保険に加入するための期間「Enrollment Period」が設けられており、この期間内に保険プランを選択しないと次年度の保険が得られません。ただし、会社によっては雇用開始後すぐに保険加入などを行うところもあります。
1年に一回加入手続き、会社によっては一度選べば自動更新のどちらかになります。


◆自分の保険内容を理解する
自分に合った健康保険とは何でしょうか。
ここで必要なのは「何がカバーされるか」「どこで使えるか」「値段はいくらか」が大きな指標となります。
「何がカバーされるか」
既往症がある方で、自分の病気に対応できる保険なら良いですよね。
同様に、「今年出産する」という場合も「出産費用」のカバー内容次第では実際に出費する医療費が安くなります。
プランによっては「予防ケアは無料」という場合もあり、これは健康診断やワクチン接種など対症療法以前のものが対象になります。このように既往症に合わせたプランを選択できるのは日本との違いです。なお、歯科保険と眼科保険はオプショナル(選択制)のため必要ならば別途手配する必要があります。
さて、一番気になるのは保険で医療費をどこまでカバーしてくれるか、そこですね。
ここで必ず理解しなければならない用語が出てきます。
★Co-pay
初診料と私は理解していますが、医療機関に行ったときに受付で必ず支払う金額です。
Co-Pay金額は$0、$25、$75など保険プランにより異なります。
★Deductible
「この金額分の医療費を自費で払ったら保険が一部支払い始めますよ」というもの。
一度Deductableを超えればその年の医療費は保険でカバーされます。次の年はまたリセットされ、$0から始まります。
Deductable金額は$0、$500、$1000など保険プランにより異なります。
★Coinsurance
Deductibleを超えた医療費に対して保険会社がカバーする割合、もしくは一定金額(Flat Fee)。
Coinsuranceの割合は当然保険プランにより異なりますが50%、80%などがあります。この比率は治療内容やネットワークにより異なる場合があります。
★Out-of-Pocket
年間あたりの被保険者が自腹で支払う上限のこと。
自己負担金額がこの金額を超えると100%保険会社によりカバーされます。
ここまで来たら使ったもの勝ちになってきますね。
ではケーススタディです。保険証はだいたいこのようなデザインです。
何らかの理由で医療機関を受診、$500の請求が来たとします。
受診窓口でCo-Pay$45を支払い。
請求の$500は自己負担です。なぜなら今年の自己負担金額(Deductible)がまだ$1,000に達していないためです。
その1か月後事故にあい$10,000の請求が来ました。
すでにDeductableは$500まで達しているため$10,000のうち$500は完全自己負担。これで年間のDeductableは$1,000です。
残りの$9,500は保険が適用されます。
$9,500のうち80%は保険適用(Co-insurance 80%)となりますので自己負担は$1,900($9,500の20%)です。
ここまでで自己負担した金額の合計は$500+500+1900 = $2900。
out-of-pocketは$3,000なのであと$100自己負担したら今年の医療費は100%保険によりカバーされます。
なんとなくわかってきたでしょうか?
保険は良いプランがいいですね。低いDeductableで低いOut-of-pocketで...
ただ、そういう場合はたいてい月の保険料(Premium)も高額です。
何かあったときに安く済むプラン(でも保険料が高い) VS 月の保険料が安いけど何かあったときの医療費が高額になる...。悩みどころですがほどほどのもので、自分の生活プランに合ったものが一番です。
「どこで使えるか」
アメリカの保険にはたくさん種類があり、それぞれ提携している病院が異なります。
Blue Cross Blue Shield (通称BCBS、フロリダではFlorida Blueが有名)
Cigna
United Health Care
などたくさんの保険プロバイダーがいます。
さて、個人的に懇意にしている医師がいたが開業して別病院勤務になった、どうしても家に近いこの病院に行きたい!などの場合は、事前に「その病院がネットワークに加盟しているか」を確認する必要があります。
ここで知っておく用語が以下です。
In-Network(提携医療機関)
Out-of-Network(提携していない医療機関)
基本的にIn-Networkの場合保険適用され、Out of Networkの場合保険適用無し、もしくは少ない割合のみカバーなど健康保険によるメリット(Benefit)が非常に少なくなります。
先に挙げたCignaとUnited Healthcareなど、保険会社や保険プランにより提携医療機関は異なります。
健康保険を持っているからどこでも受診できる!というわけではないのでご注意ください。
また、このネットワークにかかわるのがPPO、HMO、EPO,、そしてPOSです。これは保険選びの際にも重要な要素となります。これらは保険証に記載があります。
<参考資料:https://www.healthcare.gov/choose-a-plan/plan-types/>
EPO:Exclusive Provider Organization
ネットワーク内の医療機関を受診した場合のみ保険が適用されるタイプ
HMO:Health Maintenance Organization
予防ケアに重点をおいた保険のタイプ。すべての治療内容に保険が適用されるわけではありません。
なた、Out-of-Networkの医療機関には保険が適用されないことが多いです。
POS:Point of Service
ネットワーク内の医療機関であれば保険が適用されます。ただしSpecialist(専門医)はPrimary Care(かかりつけ医)の紹介を得た場合のみにかかることができるプラン。
PPO:Preferred Provider Organization
ネットワーク内の医療機関であれば保険が適用されるタイプ。
Out-of-Networkの医療機関でも紹介(Referral)への追加料金不要で受診可能です。
ところでPrimary CareとSpecialistの違いは何でしょうか。
Primary Careはまず最初に通う場所だと思えばよいです。健康診断、問診、どこが原因かわからない不調など、Primary Careで相談をして、その後必要であればSpecialist(専門医)に紹介してもらいます。
肩が痛いのでPrimary Careに行き、そこで必要な治療方法や受診先を教えてもらうようなイメージです。(整形外科、歯科、眼科、腕医者など原因によってかかるところは様々ですよね?)
General Medicine(一般医):大人を診察する医師
Family Medicine (家庭医):子供から大人まで診察可能な医師
Pediatrics(小児科):子供(0-18歳)を診察する医師
Primaryの医師は総合的な医療知識を持っており、かかりつけ医をもっておくと健康診断、予防接種、生活習慣病の相談など対応してくれます。問診の際にしっかり自分の不調や悩みなどを使えることが重要です。
さて、上記をうけて実際に病院を受診するまでの流れをまとめます。
<病院に受信までの流れ>
①受診先を知る
わからない場合⇒保険会社のホームページで調べる。またはかかりつけ医で紹介してもらいます。
②診察予約(Make appointment)
電話かオンラインで予約します。
保険証について聞かれるため手元に準備しておきましょう。
伝え方の例:
"Hi, I would like to make appointment for check-up(健康診断)"
③予約が完了すると医療機関によっては事前にメールが届いたりします。
当日はアポイントの15分前に来ることを薦められることが多く、これは初診の際に必要な書類(病院のルール、プライバシーポリシー、既往症の有無など)がたくさんあるためです。医療機関によってはこれら書類を事前にオンラインで署名できる場合もあります。
処方箋について
病院で処方箋を出してもらう場合、確認することが3つあります。
①自分の保険で処方薬がカバーされるかどうか
②自分の保険がどこの薬局と提携しているか
③処方箋は紙媒体か、電子媒体か
①自分の保険で処方薬がカバーされるかどうか
処方箋はPrescription、処方薬を出すことをPrescribe drug(またはRx)といいます。
処方薬については保険により値段もカバー内容も異なります。
健康保険とは別に処方箋保険を使うなどの場合もあります。これは雇用主によりことなり、我が家は雇用主が別々にしているため健康保険と処方薬保険の2種類がありますが、通常は健康保険で処方薬もカバーされます。
②自分の保険がどこの薬局と提携しているか
これについては医療機関受診前に調べておく必要があります。というのも初診受付の際に薬局を指定する医療機関もあるためです。家の近くなど行きやすい場所を指定しましょう。スーパー併設の薬局は買い物ついでに処方箋を受け取れるので便利です。
③処方箋は紙媒体か、電子媒体(E-prescription)か
アメリカでは電子媒体の場合が多いです。医療機関から指定した薬局へ処方データを送ってくれるため、診察が終わったら指定した薬局でIDと保険証を見せると調べて処方してくれます。
紙媒体の処方箋を出してくれるところもありますが、その場合は処方箋、ID、保険証を薬局で見せる必要があります。
薬局(Pharmacy)にて
まずはDrop-Off(処方箋受付)にて受付をします。
内容を確認後、しばらくしてから受け取り(Pick-up)が可能です。受け取り時に薬剤師から薬の説明、使い方、質問などを説明を受けます。
再処方について(Refill)
薬を長期間にわたり服用するなどで再処方がある場合、Refillを受け取ることが可能です。
◆保険にかかわる用語
Health Insurance:健康保険
Physician:医師 ※ドクターとは言いません
Healthcare Provider:医療機関
Hospital:入院施設のある大病院。オーランドではOrlando Health、Advent Health、Numoursが有名
Clinic:小さな医療機関
ER(Emergency Room):緊急の時や夜間などに駆け込む医療施設。主にHospitalに併設しています。
Urgent Care:ERのような施設ですが少し安く収まります。夜間は空いていません。
Premium:保険料(毎月支払い、 もしくは給料から天引き)
CoPay:医療機関に行ったときに受付で必ず支払う金額です。
Deductible:「この金額分の医療費を自費で払ったら保険が一部支払い始めますよ」という金額。
CoInsurance:Deductableを超えた医療費に対して保険会社がカバーする割合、もしくは一定金額(Flat Fee)。
Out-of-Pocket:年間あたりの被保険者が自腹で支払う上限のこと。
Provider:保険会社と提携している医療機関
EPO:Exclusive Provider Organization
ネットワーク内の医療機関を受診した場合のみ保険が適用されるタイプ
HMO:Health Maintenance Organization
予防ケアに重点をおいた保険のタイプ。すべての治療内容に保険が適用されるわけではありません。
また、Out-of-Networkの医療機関には保険が適用されないことが多いです。
POS:Point of Service
ネットワーク内の医療機関であれば保険が適用されます。ただしSpecialist(専門医)はPrimary Care(かかりつけ医)の紹介を得た場合のみにかかることができるプラン。
PPO:Preferred Provider Organization
ネットワーク内の医療機関であれば保険が適用されるタイプ。
Out-of-Networkの医療機関でも紹介(Referral)への追加料金不要で受診可能です。
医科にかかわる用語
General Medicine(一般医):大人を診察する医師
Family Medicine (家庭医):子供から大人まで診察可能な医師
Pediatrics(小児科):子供(0-18歳)を診察する医師
Internal Medicine:内科
OBGYN:産婦人科
Dermatology:皮膚科
Chiropratic:整形外科 ※車の事故のむち打ちなどで通うのはこちら
gastroenterology:消化器科(胃腸内科)※痔も対象
neurology:神経科(脳神経)
cardiology:循環器科(心臓内科)
psychosomatic medicine:心療科
respiratory medicine:呼吸器科
hematology:血液内科
hepatology:肝臓内科
nephrology:腎臓内科
metabolism and endocrinology:内分泌代謝内科
...などなどもっとあります。
歯科
Dentistry:歯科医院
Pediatric Dentistry:小児歯科
Dentist:歯科医
Periodontist:歯周病医 歯周病治療の専門家
Endontist:主に根治(神経除去など)の専門家
Orthodontist:矯正歯科
眼科
ophthalmologist (Eye Doctor):眼科医





